英語を外国語として学び始めてもう数十年になる。残念なことに、最近は外国語を使うことで広がる世界へのワクワク感を味わう機会が減っている。そんな私に最近ここ数年で最大のときめきが訪れた。英語でラブレターを出したのである。
それは、尊敬してやまないあるニュージーランド人研究者に宛てたものである。彼女は、私からすると雲の上の存在で世界一流の研究者である。私は彼女の本や研究に共感できる点が多く、いつも参考にさせてもらっている。そんな彼女の下で研究を行ってみたく、メールを送ってみた。自分がいかに彼女の研究の意図に共感し、普段から学ばせてもらっているか、そしてこんなことをしてみたいということを熱く熱く伝えたつもりである。尊敬と感謝の気持ちを込めたメールを送れただけでも自分ではかなり満足していたのだが、翌日なんと(!)彼女から返信がきたのである。一流の研究者である彼女は、こちらが拍子抜けするくらいに簡単に、そしてフレンドリーな調子で、私のリクエストに同意してくれた。(何の分野であれ、一流になる人は人格も一流なのだと感じた。)
こちらが一歩踏み出せば、地球上で全く出会う機会のなかった「雲の上の人」でもつながることができるのだと、大袈裟に言えば、「世界とつながることができるのだ」と感じた瞬間である。それを可能にしたのが、Eメールと英語である。「今さら何を言っている」という風に感じる人も多いかもしれないが、ぜひ試してみることを勧めたい、「英語を使って憧れのあの人や、スターにメッセージを送ってみることを」。周囲で言われているように世界は本当に身近なのかもしれない。
Article by: Professor ETO Tomoko, SALC Coordinator